Grow株式会社 / Grow!inc. Founder一ツ木崇之

Grow株式会社 / Grow!inc. Founder 一ツ木崇之

一ツ木 崇之 プロフィール

1980年東京都生まれ。大学卒業後、コンサルティング会社などを経て2010年に独立。2011年、Grow株式会社の代表取締役となり、2011年アメリカにてGrow!inc.を設立。
ソーシャルチッピングサービス「Grow!」や定期販売プラットフォーム「BoxToYou」などを立ち上げる。株式会社ベーシックへ事業売却を行い、2017年に同社役員就任。2019年1月、同社を退社。

クリエイターがインターネットで
お金を稼げるようなサービスを創り出し
世の中の問題を解決していきたい

桐谷

まず、起業した当時の様子を教えてください

一ツ木

30歳で起業したとき、まず最初にどうやって仕事するんだろう?って思ったんですよね。本格的に起業して会社にしていくのってどうやるんだ?と。
起業前、いろんな場に突入していって人脈を広げるところから始めたのですが、その中で今後は個人がインターネットを使ってお金を稼ぐ時代になっていくよね、そこに対してサービスを作っていこう、という流れが生まれて、周りの人たちがジョインしてくれて「Grow!」というサービスを立ち上げました。
簡単に言うと、Likeボタン、いわゆる「いいね!ボタン」に決済がついていてチップが送れる、というサービスなんですけど、日本だと資金移動法とかの関係上、あまりクールじゃなかったんです。それならアメリカでチャレンジしてみようということでアメリカに行ったのですがあまり上手くいかなくて、どんどんピボットしていくわけなんですね。チップだと対価がないので対価があるEC、しかも継続性がある定期購入も始めてみたりとか。
今振り返れば、仮説検証も上手くできていなかったし、組み立ても下手だったけれど、基本的には軸は変わっていないんですよ。自分の才能やクリエイティブ性を使って、クリエイターさん達がインターネットでお金を稼げるようなサービスを創り出して世の中の問題を解決していきたい、という軸は持ったまま、やり方を変えていきました。

桐谷

アメリカでのサービス立ち上げを経験して、日本と違うと感じた点はありますか?

一ツ木

根本的なところだと、アメリカでは起業家としての自分のストーリーに重要性を求められました。なぜ僕がこのサービスやるのか、なぜ僕が問題解決しなければならないのか、なぜこのタイミングなのか、自分のバックボーンがサービスにどう結びついているのか、っていう本質的なところが問われるんですよ。自分自身の価値観だったり、パッションに結構近いですよね。
日本では経営者の方からこの部分についての話を聞くことってあまりなかったんですけど、アメリカはそれが一番最初なんです。自分のストーリーに沿ったサービスでないと人もついてきてくれないしお金も集まらないし、ユーザーも増えないと思うので、そこに関してはすごく勉強になりましたし、しっくりきましたね。今後も様々な問題を解決していく中で、なぜ自分がこれをやらなければならないのかっていうのは意識していきたいですよね。
あとは資金調達の方法も違いました。今では日本でも色々な資金調達のやり方がありますけど、僕が当初やっていたコンバーチブルノートっていう方法も当時はあまり日本では知られていなかったりとか。資本政策については、いろんな海外のスタートアップの会社のデータとかを参考にしていましたね。

Grow株式会社 / Grow!inc. Founder 一ツ木崇之
桐谷

その後、サービスをバイアウトするまでの経緯を教えていただけますか?

一ツ木

シンプルに言うとすごく苦しかったんです。ビジネスも立ち上げなければいけないし、色々なところから出資してもらっていてサービスも跳ねさせなきゃいけない、何とかしないといけない。でも僕は諦めたくなくて一人になってでもやろうって思っていました。
全くお金もサービスもないのに追加出資してもらったこともあるくらい厳しかったこともあった中で、ベーシックの代表の秋山さんに一緒にサービスをやろうというお話をいただいて、藁にも縋る思いでサービスを立ち上げました。
そこで秋山さんが、僕の仕事の仕方やビジネスの立ち上げ方を見てくれていて、うちの会社に入らないか、と誘っていただいたんだけど最初それはできなかった。自分の会社もありますし、お世話になっている人たちもたくさんいて、出資もしてもらっていましたしやっぱりしっかりとサービスを立ち上げて当ててからバイアウトするなり、適切な方法で返さなければならないと考えていたんですね。
それでも声をかけ続けてくれたので、とにかくじっくり話し合いをしました。僕も「こういう状態であればGrowを離れてジョインできる」っていう自分の意思もしっかり伝えましたし、色々な条件を検討してもらった上での事業売却をさせてもらいました。

桐谷

ちなみに売却先との出会いのきっかけは?

一ツ木

シードステージに色々な人に会って資金調達をしていく中で、シリコンバレーに行くツアーがあったんです。そのツアーにベーシックの秋山さんも参加していて、そこで出会ったのがきっかけですね。そこからは経営者と株主のお付き合いをしていたんですけど、4年位経って、一度一緒に仕事しようという話になり、自分の事業売却に繋がっていきました。

桐谷

多くの人がバイアウトした後に苦しんでいたり、契約の後に失敗したっていう人って結構多い印象ですが、いかがですか?

一ツ木

1回しか経験していないので何が正しいかはわからないけど、僕の場合は「これを受け入れて下さるのであれば」っていう僕自身の意思が大前提にあったので、本音で話し合って納得してもらうことをとにかく大事にしていたし、かなり時間をかけてお互いの意思を伝え合ったのでそこで揉めるということもなかったので、そこに関してはやはり感謝ですよね。
やっていく中で苦しんだり悩んだりすることって絶対にあると思うんですけど、その度に思っていたのはこの期間をどういう意義のある時間にするのか、っていうのは自分次第だということ。なので僕のこういった時間の使い方を無駄だと言う人もいるかもしれないし、経営者同士が話をすると方向性でぶつかることももちろんあるけれど、これを自分の糧にしたり見つめ直すチャンスにしようと思って働くように意識していました。

桐谷

ロックアップ期間中、辛かったなと思うことはありましたか?

一ツ木

自分の会社の時とはまた違う辛さがありますよね。 例えば自分がやっているサービスって、自分が0から立ち上げて責任を持ってやっていくじゃないですか。でもある程度ビジネスモデルが固まっている状態に途中から入っていく業務も多いので、僕が持っている情報の中に数字を伸ばすためのネタがあまりなかったりして、戦いづらさを感じることもありました。 一方で大きな会社の役員をさせてもらった経験とか、自分の立ち上げたサービス以外も含めて、複数にわたってマネジメントさえてもらった経験はすごく貴重でしたし、至らないことも多く反省点も多々ありますが、それも含めてとても感謝しています。

Grow株式会社 / Grow!inc. Founder 一ツ木崇之
桐谷

今後展開していく事業のイグジットについてはどう考えていますか?

一ツ木

僕はバイアウト前提、というふうに決め込まず流れを大事にしていきたいですね。やっぱりそこに理由がないと人もお金もついてきてくれないので、無理矢理にでも何かしら自分のストーリーを作る。例えば今度、中南米に行くんですけど、そこに行って何かに気づいて、この問題を何とかしたい、だからこのサービスを作ったっていう流れの方が自然ですよね。だから僕はそっち側からサービスを作っていくんじゃないかなと思います。
でもアメリカだと「こういうサービスを作ったとしたらいくらで買ってくれますか?」「買ってくれるなら僕たちサービス立ち上げます」っていうやり方がが当たり前のようにあるし、それも一つの選択肢だと思っています。
例えば、僕らが「Canvath(キャンバス)」というサービスを作るきっかけになったのは、BASEとかSTORES.jpみたいな個人がネットショップを簡単に立ち上げられるサービスが出てきたからなんですよね。
BASEやSTORES.jpのリリース当初、とにかくショップ開設数をKPIにしていたようなので、売る商品が増えないとショップ数も増えないよね?っていうのがあった。
だから「売る商品を作れる」サービスが必要になってくるんじゃないか?と思って、自分のイラストや写真をアップするだけでスマホケースやTシャツが作れる「Canvath」を作って、BASEやSTORES.jpのショップオーナーをターゲットにした。そしたら、サービスが順調に伸びていったんですよね。
今であれば、メルカリでいらなくなったものを個人売買するのが当たり前になってるけど、それに付随して売る前のメンテナンスでクリーニング業とかが伸びてるって記事を読んだんですよね。そうやって伸びてるサービスの近くにあるサービスを作ってバイアウトを狙っていくっていう方法も当然あるんじゃないかなって思いますね。

桐谷

起業家の事業の立ち上げ方も、幸せのスタイルも多様化してきましたよね

一ツ木

日本では自分が作った会社は自分が最後までやり遂げないといけないっていう考え方が確かにあったかもしれませんが、僕自身にも、親しくしている周りの経営者の方たちにも、そういう発想はもう無いんですよね。
適材適所で経営者が変わるのってアメリカではよくある話じゃないですか。そういう意味では思想的にはシリコンバレーの文化が日本にも少しずつ入ってきてるんじゃないかなと思います。問題解決していこう、そのためにサービスを立ち上げよう。その中でうまくいってるからまだ自分が続けるとか、売却する、っていうのはあくまでも一つの手段であってゴールではない。そういう考え方の人しかいないんじゃないかな、というのが僕の肌感覚です。

「この問題は僕が解決すべきだ」
っていうものに出会ったときに
分野に制限をつけずにサービスを立ち上げる

桐谷

今後の展望について、教えてください

一ツ木

働き方が多様化した今、今後起業は個人事業主も含めて間違いなく増えていくと思うんですよね。ただサービスが出るタイミングってデバイスが変化したり、人間が扱っているものが大きく進化したときに爆発的に増えていくんじゃないかなと思うんです。でも今ってネタがない。だから違う角度から物事を見ていかないといけないなと思っています。
中南米に行ってみようと思ったのも、ただ海外に目を向けるというわけではなく、周ってみてそこで何か気づく、感じることがあると思うんです。日本に帰ってきたらこのサービスをやりますっていうのは決めていないけれど、最初にもお伝えしたように「僕だからこそやる価値があるよな」っていうサービスだったり、「この問題は僕が解決すべきだ」っていうものに出会ったときに、分野に制限をつけずにサービスを立ち上げていきたいと思っています。
そこに出会えるように常にアンテナを張って情報収集していきたいし、そのために色んな場所へ出向きたいと考えています。 最終的にバイアウトなのか、社長を交代するのかはその時に決めればいいと思うんですけど、執着しないでその見切りをつけることが今後は自分にとって勉強になるんじゃないかなと思っています。自分の得意なところに、自分の時間と成果を出すための力を使う、という生き方をしていきたいですね。

Grow株式会社 / Grow!inc. Founder 一ツ木崇之

インタビュアー 桐谷晃司

1964 年大阪府生まれ。関西大学を卒業し1991年人材コンサルティング会社の創業に始まり、3度の起業、1度の倒産、2度の事業売却を経験。2001年にインターネット関連会社・デジパ株式会社を創業し、社員10名以上が起業するプロ集団に。
2010年より南房総にNPO法人あわ地球村を設立し「半農半起業家」の東京との二拠点生活を開始。2018年スタートアップ支援を目的にスタートアップスクエア(株)設立。著書に「検索せよ、そして動き出せ」「いちばんやさしいWebマネジメント教本」

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