株式会社ROI Founder恵島 良太郎

恵島 良太郎 プロフィール

1976年宮崎県生まれ。大学卒業後、システム開発会社、コンサルティング会社を経て2004年株式会社ROI設立。『ファンくる』をリリースし、主力事業へ。
2012年にマレーシアに進出のためクアラルンプールに移住。マレーシア進出支援事業と現地での外食事業も開始。2017年株式会社ROI代表取締役を退任、マレーシアを中心としたグローバル事業へ集中する。

経営のやり方なり資金調達なりゴール設定が
その人の性格に合っているか
ビジネスに合っているかが一番重要

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まず、最初に恵島さんのM&Aをした経緯をお伺いできますか?

恵島

起業家って報われないことが多いんですよね。社長というステータスも権限も責任感もあるので何でもできるいいポジションだと思われがちですけど、色んな苦労もあって退職することもできないし一生その組織を見ていかなくてはいけない。その出口がない。
最後の最後がどうしても報われないことを考えてみなさんイグジットとして株式公開を考えるんですが、株式公開は起業家の性格によって向いている人とそうじゃない人がいたり、ビジネスによっても向かないものもあるかなと考えたときに、僕のやり方であれば会社を自分の従業員に譲るという形でのM&Aを実行しました。

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M&Aしたことによってどんな変化がありましたか?

恵島

僕自身はやはり退職したことで生活も変わりますし、自由にもなった。尚且つM&Aというイグジットを迎えたことによって得られた資金を使って、新しいスタートアップの支援というやりたかったことができるようになったかなと。
もう一つは、売却した会社がプロの経営者や僕よりコミットしている役員陣が経営に携わることによって、売上が収益も含めて倍近く伸びている、ポジティブな状況になっていますね。

株式会社ROI founder 恵島 良太郎
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今後、スタートアップスクエアでは起業家に対してどんなサポートをしていきたいと考えていますか?

恵島

スタートアップスクエアで我々がやろうとしていることは、僕が創業した15年前に「こんなサービスがあったらもっと時間を短縮してより収益をあげることができただろうな」というサービスなんですよね。当時は株式公開の数も少なかったですし、それを取り巻くサポート企業も少なかった。
その中で株式公開をするかしないか、資金調達もエクイティファイナンスをするかデッドか、どちらかを選択しなければならない状況があったんですよね。
経営者って色々な戦略を取るけど、大体が正解なんだけれども、経営のやり方なり資金調達なりゴール設定がその人の性格に合っているか、ビジネスに合っているかが一番重要かなと思っています。だからこの15年間の経営者としての経験を使って、あらゆる形で起業家のサポートができる状況が揃っていることをしっかり伝えた上で、従来のような株式公開を目指しましょうっていうものじゃなくて、あらゆる選択肢があった中で自分の性格や組織にマッチした手法を組み合わせることが一番いいことですよ、ということを最初に伝えていきたいなと思っています。

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性格にマッチしたというと恵島さんはやはり0→1が好きなんですか?

恵島

0→1が好きですね。というか正確に言うと0→1しかできないですね。
0→1は好きで得意、1→10は好きではないけどたぶん他の人よりは上手い、10→100は我慢すればたぶんできる。ただ何か我慢することってしたくないので、できるだけ自分が得意で好きな0→1をやりたいなと思っています。

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そうなると、ROI社を立ち上げた当初から売却を考えていたのでしょうか?

恵島

2004年の立ち上げは当初は26歳だったんですけど、イグジットすら考えていなかったですね。生き残らないといけないっていうのが正直なところでした。
2008年のリーマンショックの2年後くらいから利益がでるようになって、株式公開する会社が増えてきてVCもがお金を持ち始めたので、その頃はIPOを目指していましたね。

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IPOを目指していたところからM&Aを実行することになったきっかけをお伺いできますか?

恵島

IPOを目指している中で1億円程度の利益が出るようになったので、僕は海外に出るのであとは他の役員の方に託したんですよね。ただ海外に出て2年目くらいに、やっぱり僕がいなくなったことによって収益が落ちてきてしまったのでもう一度戻ったんですけど、その時に株式公開のスケジュールが大幅にずれたので立て直すことになった。その時に、僕がやるのか、もともと任せた人間がやるのかっていう選択に迫られたんですけど、彼がもう一度自分でやらせてくれ、ということだったので任せたら見事なV字回復をとげた。
そこでこのまま株式公開をするのか、立派な社長が誕生したのでこのタイミングでM&Aをするのか考えた結果、株式公開の準備を8年くらい行いつつ、M&Aを実行したっていう感じですね。

管理部門を作った途端に、
「とはいえこれをやっちゃダメだよね」っていう
一つの文章が入ってくる

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その後の恵島さんのサービスの作り方はM&Aが前提なんでしょうか?

恵島

そうですね、今は全て売ることを前提として、ショートイグジットで3年以内に数億円で売れるものを作って、一緒に作ったメンバーにはストックオプションを10%渡して、売った後にある程度ハッピーな状態が待っているっていうモデルをずっと作っています。
従業員には採用の段階で、「3年後には売却してる会社で、あなたはその会社の社長です。その代わり10%のストックオプションがつきます、それでいい?」と伝えて最初から握っていますね。

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売却前提の場合、企業の作り方としてはどう違ってくるんでしょうか?

恵島

売却前提、売却をしない、株式公開を目指す組織、この3つで分かれると思うんですけど、売却をしない会社であれば社長が1人で頑張って収益上げればいいかなと。
売却の場合だと社長が1人で頑張っていても、組織やビジネスモデルで何か魅力がないと売却ができない。尚且つ株式公開の場合だとパブリックになるので、コンプライアンス違反はあってはいけない状態を作らないといけない。
なので僕の中では株式公開をする組織ってすごく難しい。ベンチャー企業って何もないところに収益をあげるっていうクリエイティブなものだったりとか、絶対に収益を取らないと死ぬっていう攻めなんですけど、そんなベンチャーの社長たちが管理部門を作った途端に、「とはいえこれをやっちゃダメだよね」っていう一つの文章が入ってくる。
そうすると脳みそがどうしても守りと攻めがあって、でも両方できる人ってあまりいないんですよね。それをやらないといけないのが株式公開の会社なんですけど、僕はそれがすごく苦手だったし、窮屈だったし、僕の性格に向いていないなと思って。
よく言われるのが、株式公開を目指してもしダメだったらM&Aすればいいよ、そうすれば管理部門もしっかり揃っていて、外部の人が入ってきてもデューデリしやすい状況だからIPOを目指していればどっちにもいけますっていう話があるんですけど、僕の14年間の経験からいくと、非常に無駄なことをしたなという。

最初から売ると決めていた組織、売ると決めたマネジメント手法、売った後にはあなたは社長をやってくださいねというコミットメント、これをやっているとすごく時間も短くできるなと言うのは気づきましたね。
彼らには、売却後社長になれれば幸せだねってことは伝えています。
なぜかというと、買った会社がその人を必要としなければそれで終わりですよね。なので当たり前に一生懸命にやっていないと、買われた側で普通の社員になってしまう可能性もあるし、追い出されてしまう可能性もある。まずはインセンティブが入るけど、その後は自分の実力次第なので、頑張りなさいねって話はしてますし、これは僕の会社にいたとしても同じだし当たり前の話ですよね。

株式会社ROI founder 恵島 良太郎
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売却先はどうやって探していますか?

恵島

今の会社だと色々な人脈を使って探しつつ、売るであろう1年位前から色々な人と話し合ってますね。エージェントに話す際も、どういう状態だったら高く売れますか、何店舗くらい店舗を持てば10億円で買ってくれますかっていう話をする。そこから逆算して、じゃあ今自分がやらなきゃいけないことってなんだっけ、今やってることって正しいんだっけ、無駄なこと無いのかってところを確認する、という探し方ですね。

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最後の決断の決めてとなるのは?

恵島

ケースバイケースですね。金額で言えば10億と100億だったら、間違いなく100億でしょうし(笑)
ただ大体拮抗するので、その時にはどれだけうちの従業員の人たちをちゃんとケアしてくれるか、あとはその会社の将来性だったりですよね。売る時も100%ではなくて30%残して売るっていうケースの時には僕も残る場合があるので、その時にはしっかりバリューアップできるのか、この会社はサポートできる会社なのか、組織風土だったり文化だったりを見ますね。

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M&A前提でサービス作ってる人は多くなってきていると感じますか?

恵島

まだ少ないですね。ただ自分がよく若い人たちに言うのは、まず売る前提で会社を創ってみようと。得た利益を一緒に頑張った創業メンバーとシェアしましょうと。
得た利益で次なるアントレプレナーになるのか、大きい会社にそのまま入っていくのか、そこは選択すればいいんじゃないと。
5億円持っていてベンチャー企業を立ち上げるのってだいぶ楽なんですよね。普通はみなさん手元にお金が無いので100万とか200万で立ち上げて、そこからバリュエーションを上げてお金を調達する。自分の持ち分比率が低いまま、それで万が一上場してしまうと株式比率もすごい低いまま上場して、株主のための会社になってしまう。それが幸せな人もいると思うし、そういう形が幸せなビジネスモデルもあると思うんですけど、僕はできれば67%とか51%を維持したまま成長していく、そんな会社を創ったほうが誰にとっても幸せなんじゃないかなと思っています。

株式会社ROI founder 恵島 良太郎
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今後もどんどんサービスを作り続けていくのでしょうか?

恵島

作り続けていければ幸せかなとは思いますね。でも年齢的なものだったり、感性が鈍るタイミングだったり、今使っているデバイスも変化が必ずある。そこが楽しくて得意な領域であれば続けるし、ただ楽しいだけであればやめるだろうし、得意っていうところがついていないとやっぱりビジネスってきついんですよね。赤字の媒体を作るって精神的にもきついので、ちゃんと利益が取れるものであれば、新しいビジネスモデルを作りたいとは思いますね。

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今もし学生の頃に戻ったらどうしますか?

恵島

もし今の自分が学生の時の自分に会ったら何て言うかというと、もう少しグローバルな世の中や、これから世の中がどう変わるかを見た上で、一番自分のやりやすい簡単なビジネスモデルをやってみて、そこで得たお金で世界中で狙えるようなビジネスモデルを作るっていう狙い方がいいんじゃないって言いますね。

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昔に比べて情報量は増えていると思うのですが、若い起業家の中でM&Aの話があまりでてこないのは、やはりまだネガティブなイメージがあるからなのでしょうか?

恵島

M&Aについてはネガティブでしょうね。3年しか経験してない若い起業家と話すと、今の情報はたくさん持ってる。でも今の情報がずっと続くと思っているし、この3年間が永続的であると思ってるんですよね。10年選手の人たちは、波があったり有り得ないような困難があったり、今の良い状況がずっと続くわけがないってことがわかってる。そうするとやっぱり人の考え方って変わってきて、じゃあ今まで100年はどうだったのか、歴史的にどうだったのか、自分の人生だけではなくて、ビジネスを振り返りながら未来は何が起こるかなっていう見方ができる。この振り幅がすごく大きくなるんですよね。
30年後、どう変わっていくんだろうと考えた時に、逆に30年前はどういう世の中だったのかっていうのを見ていく。情報はあるけど、その情報がずっと続くものではないって事を経験をもって知る機会がスタートアップの人にはないですよね。

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惠島さんにとって、どの時代が一番辛かったですか?

恵島

いつが一番辛かったですかって聞かれるといつも今って言うんだけどね(笑)
いつもつらいよ~実は(笑)
過去の辛かったことって忘れちゃうしね。資金的には創業期は辛かったですね。創業期以降はかなり工夫したのでお金がなくて倒産しそうになることはなかったですけど、驚かれるくらい個人保証で借金は常に数億。その状況に耐えられる人と耐えられない人がいるし、耐えられない人は向いていないからやめればいいしね。

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今の起業家の人たちは借入以外の選択肢も増えてきて資金調達しやすくなってますよね。

恵島

間違いなくそうなってはいるんだけども、簡単に調達できるので選択肢を並べないですよね。容易にエクイティファイナンスで資金調達できる分、それと真逆の間接金融とか個人保証でお金を作るっていうシミュレーションをする必要がないからね。
でもそれって将来的に自分の持ち分比率を下げる要因になる。ビジネスモデルにもよるけど、1%でも創業者は株を持つ、それが従業員にとっても取引先にとっても、社長にとっても幸せだと思ってますね。

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